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DWARVES' DISCOVERY LOG
〜 ドワーフたちの発掘日誌 〜


「バケペンと呼ばれる理由 ― 長老と知識家、煙の向こうの談義」
煙る小屋、卓の上の影 夜が深い。地下の小屋の窓には、ろうそくの灯りが一つきり。煙草の煙が天井をなぞり、卓の上には黒い箱が据えられていた。武骨で、重く、角ばっている。誰かが息を呑めば、それだけでこの場の沈黙が割れそうな気配があった。 箱の正体は、ペンタックス PENTAX 67 アイレベル SMC TAKUMAR 105mm F2.4。中判フィルムカメラの一台で、現場では「バケペン」と呼ばれる類のものである。 卓を挟んで二人が向き合っていた。長老のチョウ・ロウは背を丸め、杖を脇に立てかけ、酒を一口だけ含んだ。前髪の隙間から覗く瞳は、灯りを映してわずかに揺れている。向かいに座るノーチェルは、いつもの饒舌を引っ込めて、黒い箱の輪郭をなぞるように指を這わせていた。 「これが、噂の」 ノーチェルが呟いた。 「私はずっと気になっていたのです。なぜ、この機体を皆"バケペン"と呼ぶのか」 長老は答えなかった。グラスを置く音だけが、小屋の空気を一度だけ揺らした。 名の由来、二つの説 「言い伝えがある」 ...
2 日前


「ぱしゃっと鳴った瞬間、世界がキラキラした ― プラムとカロリーの SOFORT 発掘記」
洞窟の朝に、ぱしゃっと鳴った何か その日、地下の洞窟はいつもと少しだけ違う匂いがしていた。乾いた土と、煤の匂いと、ほんのかすかに、新しい紙のような香り。プラムは寝ぼけたまま、ツインテールを直すのも忘れて鉱山の奥へ歩き出した。なんだか、呼ばれている気がしたのである。 奥の壁の前で立ち止まる。岩のすき間に、四角くて黒い、見たこともない形の何かが埋まっていた。プラムはそっと両手で引き抜いた。ずしり、と重い。けれど、抱きしめるとちょうどいい大きさだった。 「ねえ、これ……なんだろう?」 ひとりごとがこだまする前に、後ろから足音が近づいてくる。カロリーだった。朝から木の実を運んでいたらしく、両腕いっぱいに荷物を抱えている。プラムが小さな黒い箱を持っているのを見ると、カロリーは目をぱちくりとさせた。 「うわぁ、それ、お宝だよ……? すごいなぁ、プラム」 カロリーは荷物を地面にどさっと置いて、まじまじと黒い箱を覗き込んだ。前面に丸い目玉のようなレンズ。横には小さなボタン。下のほうには細い隙間がひとつ。プラムはおそるおそるボタンを押してみ
6 日前


2420万の光を閉じ込める箱——山の運動会に、ロベルトの宝物を
時を止める、黒い小箱 地下深く、鉱山の最奥——ひんやりとした岩肌に、 ロベルト の手が触れた。ランプの光に、小さな元箱がうっすらと浮かび上がる。丁寧に埃を払うと、中から黒く精密な箱が現れた。ずしりと重く、けれど手のひらに収まる大きさ。彼の髭の先が、ぴくりと震えた。 「おい!俺はこんなのを見つけてきたぜ!さぁみんな宴だぜ!」 洞窟を駆け抜けたロベルトが、広間の中央にそれを置く。集まったドワーフたちが目を丸くする中、温かいスープの匂いが部屋中に満ちていた。 プラム が大鍋の前で振り向く。 「ねえみんな!今日はワインもいっぱい用意してあるの。ロベルトがまたすごいの持ってきたみたいねぇ」 ロベルトが掲げたのは、人間の国で2015年に生まれたという一眼レフ——キヤノンEOS 8000D。18-135ミリの万能レンズが一本。広い景色も、遠くの小さな被写体も、これだけで捉えられる。DIGIC 6と呼ばれる心臓部が、人の肌をとりわけ柔らかく映すのだという。「Canonらしさ」——血の通った、あの色。 走る光を、止めるために ...
4月21日


重たい宝ほど、あたたかい ― 力持ちカロリーが運んだ奇跡のカメラ
重たすぎる宝物 その日、俺と カロリー はいつもより深い坑道へと足を踏み入れていた。 「ロベルト、今日はなんだか空気が違う気がするね…」 カロリーが少し不安そうに言う。だが俺は胸が高鳴っていた。 「ああ…こういう時は決まってる。でっかい“当たり”が眠ってるぜ。」 しばらく進むと、岩陰の奥にひっそりと置かれた箱を見つけた。埃を払うと、その姿が現れる。 それは、ただの道具じゃない。重厚で、静かに、だが確かに存在感を放つ“機械”。 「おい…これ、ただもんじゃねぇぞ。」 俺の声が震えた。カロリーも目を丸くしている。 「ねーみんな!…って言いたいけど、これ…すごく重そうだね…!」 その通りだった。 MAMIYA RZ67 PROFESSIONAL II Z 110mm F2.8 W 。それはまるで、大地そのものを切り取るために作られたような一台だった。 運ぶ理由 「よし、持ち帰るぞ!」 俺が言うと、カロリーは一瞬ためらいながらも、すぐにニコッと笑った。 「うん!僕に任せて!」 その巨体を軽々とは言
4月19日


洞窟最深部で交わす一本勝負。300-600mmという選択
洞窟の奥、天井の低い通路に三人分の足音が重なる。今日は珍しく、掘る前から空気がピリッとしていた。 「……ここ、音が違うな」ロベルトが立ち止まり、岩肌を軽く叩く。 「勘だが、奥に“重い”のがある。いや、落ち着け俺。まだ見えてないだろ」 「ふふ、また始まった」プラムはランタンを少し高く掲げる。 「でも、今日は私も分かる気がするの。なんというか、職人さんが黙っちゃう時の空気」 「オイラはもう確信してるぜ」トマソンが鼻を鳴らす。「この先だ。手先がうずく。これは“でかい仕事”の前兆だ」 数歩進んだ先、岩棚の影に鎮座していたのは、黒く長い金属の塊。三人が一斉に息を呑む。 「……300-600mm、しかもF4だと?」ロベルトの声が低くなる。 「ちょっと待て、これ全部一本か?」 「正確にはズームね」プラムが覗き込みながら首を傾げる。「でも、見た目はもう単焦点の覚悟を感じるわ」 「SIGMA 300-600mm F4 DG OS SPORTS。ライカLマウント」トマソンが即答する。「しかも、滅多に出回らない個体だ。レアもの、文句なし」 ロベルトは腕を組み、じっとレ
1月27日


炭鉱で仁義なきコンデジ争奪戦!DCーTX2を巡る攻防
炭鉱の奥、ランタンの光がゆらゆら揺れる通路。その暗がりで、トマソンの叫び声が響いた。 「おいプラム!オイラが先に見つけたって言ってるだろ!」 「え〜?私が足を引っ掛けて転んだから見つかったんだよ?半分は私の手柄でしょ?」 足元の石炭の山の上には、ひときわキラッと光る銀色のかたまり。 Panasonic LUMIX DC-TX2。 炭埃だらけの世界には似つかわしくない、高級コンパクトが鎮座していた。 トマソンは素早くそれを抱きかかえる。 「これはオイラの宝だ!ポケットにすっと入るのに、この存在感…ただのコンデジじゃないぞ!」 プラムがじりじりと距離を詰める。 「トマソン、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ貸して。お店のブログに載せる用のイメトレしたいの」 「イメトレって何だよ!現物持ってるのはオイラだ!」 ふたりはカメラを挟んで、まさに綱引き状態。ランタンの光がボディに反射して、余計に争奪戦を盛り上げる。 「だって見てよ、そのダイヤル。カチカチ回すだけで、今日一日分のテンションが上がるタイプのやつだよ!」プラムの目がキラキラしている。ワインを見つけた
2025年12月8日
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