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DWARVES' DISCOVERY LOG
〜 ドワーフたちの発掘日誌 〜


カロリーとプラム、お宝カメラを空にかざす〜地上テスト撮影大作戦〜
地下の工房に、朝の支度の音が響いていた。とはいえドワーフたちの暮らす洞窟に「朝」を知らせるのは日の光ではなく、湯を沸かす鍋の音と、誰かの寝ぼけた鼻歌である。その日、いつもより早く起きていたのはカロリーだった。 「ねーみんな!このコ、そろそろ外に出してあげたいんだ!」 カロリーが両手で大切そうに抱えていたのは、先日みんなで発掘したばかりの一台のカメラだった。ライカ LEICA M6 TTL 0.72 シルバー BODY。銀色の小さな躯体が、ランタンの灯りをやわらかく弾いている。使用感の少ない美品で、光学系もクリア。動作も各部点検も済んでいる、正真正銘の「お宝」である。 「あら、いいわね。地上でお日さまの下だと、写りもきっと気持ちいいわよ」 そう答えたのはプラムだった。ドワーフ唯一の女性で、みんなの癒し役。今日はカメラのテスト撮影に付き合ってくれるという。カロリーは、それだけで少し顔が赤くなった。もっとも本人は「ランタンが近いだけだよ」と言い張るのだが、誰もそれを信じてはいない。 地上への長い階段 ドワーフの洞窟から地上へ
7月26日


坑道の奥で銀が鳴いた ― トリエルマーM 28-35-50mm、静かな発掘記
雨の音がする坑道だった。地下に雨は降らない。それでも、水が岩を伝う音は雨に似ている。ロベルトはランタンを持ち直し、湿った岩壁に耳を寄せた。 音は三日前から続いていた。低く、規則正しく、何かを叩くような音だ。仲間たちは気味悪がって近寄らなかった。ロベルトだけが毎晩ここへ来ていた。 「気のせいじゃねぇ」 背後で足音が止まった。カロリーが、ツルハシを二本抱えて立っていた。 「一人で掘るの、大変でしょ。僕、手伝うよ」 ロベルトは答えなかった。代わりに、片方のツルハシを受け取った。それで十分だった。 音は、岩の向こうから聞こえていた 二人は無言で掘り進めた。カロリーの腕は太く、一撃ごとに岩が砕けた。ロベルトは狭い隙間に手を伸ばし、崩れた石を掻き出していく。 三時間が過ぎた。カロリーの息が上がってきた頃、ツルハシの先が何かに触れた。金属の音だった。 「ロベルト、これ」 ランタンを近づける。岩の裂け目の奥に、銀色の何かが埋まっていた。ロベルトは慎重に周囲の土を払った。指先に冷たい金属が触れる。刻印がある。 引き出
7月23日


トロフィーを掴む覚悟はあるか
坑道の奥は、いつも静かすぎる。ランタンの油が焦げる匂いと、岩肌を伝う水の音。それ以外には何もない。あるはずがない。 その夜、ロベルトは単独で第七坑道へ降りていた。仲間は止めた。ここ数日、奥から妙な音が聞こえる、と。低く、規則正しく、まるで誰かが金属を磨いているような音だった。だがロベルトは肩をすくめただけだった。発掘屋に、休む理由などない。 音は確かにあった。岩の継ぎ目の向こう。ロベルトはツルハシを置き、素手で土を払った。指先が、冷たい金属に触れる。 掘り出したそれは、黒く、太く、ずしりと重かった。鏡胴の側面に走る一本のリング。先端には、底の見えない硝子の眼。ランタンの灯りがその硝子に吸い込まれ、奥で青白く反射した。ロベルトは息を呑んだ。 「……トロフィーか」 男の口から漏れたのは、それだけだった。優勝者だけが掲げることを許される、あの黄金の杯。形は違う。だが放つ気配が同じだった。勝者の風格。手にした者を選ぶ、傲慢なまでの存在感。 知識こそが、力 地上の小屋に戻ったロベルトは、それをテーブルに置いた。仲間たちが集ま
6月22日


白い相棒と、風の音を探しに
地下の坑道に、その日は妙に柔らかな風が流れ込んでいた。どこか遠くの地上から、土と緑のにおいを連れてきた風だ。 ツルハシを片手に岩肌を見つめていたロベルトは、ふと手を止めた。壁の奥から、これまで掘り当ててきたどの宝とも違う、すずやかな気配がする。慎重に岩を崩していくと——白く、まるみを帯びた小さな箱が、ぽろりと顔を出した。 「おい!見ろよ、これ!真っ白だぜ!」 ロベルトの声が坑道じゅうに響いた。掘り出されたのは、ソニー SONY VLOGCAM ZV-E10 E PZ 16-50mm Kit ホワイト。汚れひとつない、雪のように白い一台だった。ランタンの灯りを受けて、レンズがちらりと光る。 騒ぎを聞きつけて、ワインの瓶を抱えたプラムがやってきた。白い宝物をのぞき込むと、ぱっと表情がほころぶ。 「わぁ、可愛い……。ねえロベルト、これね、外の景色を撮るための道具なんですって。地下じゃもったいないわ」 ロベルトは少し考え込んだ。仲間たちはいつも、宝を掘っては坑道の暗がりで宴を開く。けれど、この白い相棒は、暗い場所より、もっと明るく
6月3日


指切り、うまくできなかった日
その日、地下炭鉱の南通路には、いつもより少しだけやわらかい風が流れていた。地上から染み込んでくる春の気配というやつだろうか。ランタンの灯りが岩肌に揺れ、湿った石の匂いに、どこか甘い香りが混ざっている。 カロリーは、その日の朝からずっと落ち着かなかった。理由ははっきりしている。プラムから「散歩に付き合ってほしい」と頼まれたからだ。たったそれだけのこと。けれど、彼にとってはそれが、世界がひっくり返るほどの一大事だった。 並んで歩く、ただそれだけのことが 「カロリーくん、ちょっと歩くの早いよ〜」 プラムの声に、カロリーは慌てて立ち止まった。気がつくと、彼女を半歩以上引き離してしまっている。力持ちのドワーフであるカロリーにとって、自分の歩幅を半分にして歩くのは、岩を持ち上げるよりよほど難しい仕事だった。 「ご、ごめんよプラム。僕、つい……」 「ふふっ、いいの。今日はゆっくり歩きたい気分なんだ」 プラムは小さく笑って、頭の上のツインテールを揺らした。その仕草を横目で見ながら、カロリーは耳の先まで赤くなるのを感じた。けれど兜の
5月18日


「バケペンと呼ばれる理由 ― 長老と知識家、煙の向こうの談義」
煙る小屋、卓の上の影 夜が深い。地下の小屋の窓には、ろうそくの灯りが一つきり。煙草の煙が天井をなぞり、卓の上には黒い箱が据えられていた。武骨で、重く、角ばっている。誰かが息を呑めば、それだけでこの場の沈黙が割れそうな気配があった。 箱の正体は、ペンタックス PENTAX 67 アイレベル SMC TAKUMAR 105mm F2.4。中判フィルムカメラの一台で、現場では「バケペン」と呼ばれる類のものである。 卓を挟んで二人が向き合っていた。長老のチョウ・ロウは背を丸め、杖を脇に立てかけ、酒を一口だけ含んだ。前髪の隙間から覗く瞳は、灯りを映してわずかに揺れている。向かいに座るノーチェルは、いつもの饒舌を引っ込めて、黒い箱の輪郭をなぞるように指を這わせていた。 「これが、噂の」 ノーチェルが呟いた。 「私はずっと気になっていたのです。なぜ、この機体を皆"バケペン"と呼ぶのか」 長老は答えなかった。グラスを置く音だけが、小屋の空気を一度だけ揺らした。 名の由来、二つの説 「言い伝えがある」 ...
5月11日
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