炭鉱で仁義なきコンデジ争奪戦!DCーTX2を巡る攻防
- 飯塚 祐介
- 4 日前
- 読了時間: 5分
炭鉱の奥、ランタンの光がゆらゆら揺れる通路。その暗がりで、トマソンの叫び声が響いた。
「おいプラム!オイラが先に見つけたって言ってるだろ!」
「え〜?私が足を引っ掛けて転んだから見つかったんだよ?半分は私の手柄でしょ?」

足元の石炭の山の上には、ひときわキラッと光る銀色のかたまり。
Panasonic LUMIX DC-TX2。
炭埃だらけの世界には似つかわしくない、高級コンパクトが鎮座していた。
トマソンは素早くそれを抱きかかえる。
「これはオイラの宝だ!ポケットにすっと入るのに、この存在感…ただのコンデジじゃないぞ!」
プラムがじりじりと距離を詰める。
「トマソン、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ貸して。お店のブログに載せる用のイメトレしたいの」
「イメトレって何だよ!現物持ってるのはオイラだ!」
ふたりはカメラを挟んで、まさに綱引き状態。ランタンの光がボディに反射して、余計に争奪戦を盛り上げる。
「だって見てよ、そのダイヤル。カチカチ回すだけで、今日一日分のテンションが上がるタイプのやつだよ!」プラムの目がキラキラしている。ワインを見つけた時と同じ光だ。

「分かってるさ、だからこそ譲れないんだって!」トマソンは鼻息を荒くしながら、そっと電源を入れた。モニターにふわっと立ち上がる画面。
「ほらな、高級コンパクトってのはこういうことなんだよ。起動した瞬間に“仕事できるヤツ”って感じがするだろ?」
「うん…なんか、ボディのサイズは小さいのに、構えてみると気持ちだけちょっとプロっぽくなる感じする」プラムはうっとりと覗き込む。
トマソンは得意げに顎を上げた。「このPanasonic LUMIX DC-TX2なら、炭鉱の暗さでも街の夜でも、オイラたちの冒険を全部連写してやれる気がするんだ。ポケットからサッと出してすぐ撮れる、こういうのがコンパクトデジタルカメラ好きにはたまらないんだよ」
ちょっと熱が入りすぎてきたトマソンは、胸をどんと叩く。
「今日からこの相棒で、オイラは“決定的瞬間担当”だな!」
……いや、落ち着けオイラ。まだ一枚も撮ってないだろ。
自分で心の中にツッコミを入れ、咳払いひとつ。
プラムが首をかしげる。「でもさ、コンパクトってことは、ボタンも小さいし、私みたいに指先そんなに器用じゃなくても大丈夫かな?」
「そのくらいは平気だって」トマソンはプラムの手をとり、そっとグリップを握らせる。「ほら、指が自然にシャッターボタンの場所に行くだろ?小さいけど、ちゃんと撮る人のこと考えて作られてる感じがするんだよ」
プラムは実際に構えてみて、ぱちりとシャッターを切った。カシャッという音が炭鉱に軽く響く。
「わ。今の音、ちょっと気持ちいい…」
「そうだろ!」トマソンは食い気味に頷く。
「高級コンパクトってのはな、写りだけじゃなくて“触ってて気持ちいいか”も大事なんだ。持ち出したくなるかどうか、そこが勝負だ」
「なるほど…これなら、休みの日ずっとポケットに入れて歩きたくなるかも。カフェ行って、帰りに路地裏撮って、炭鉱に帰る途中の夕焼けも…」
「そうそう。そうやって“ついで撮り”が増えると、気づいたらアルバムがぎっしりになるんだ」
ふたりはしばし、撮ってはモニターを覗き込み、また撮る。炭鉱の黒い壁も、ランタンのオレンジも、いつも見慣れた景色なのに、DC-TX2越しに見るとちょっとだけドラマチックに見えてくる。
「ねえトマソン」
「なんだよ」
「これさ、私がお店に持ち帰って、コンデジ好きさん向けに“高級コンパクト入荷しました♡”って紹介していい?」
「なんでそこで“私が”になるんだよ!探し出したのはオイラの鼻だぞ!」
「でも、可愛く持って写真撮る係は、どう考えても私でしょ?」
「ぐっ…!」
トマソンは一瞬黙り込む。確かに、店頭写真でカメラを持つモデル役としては、プラムに分がある。悔しいが認めざるを得ない。
「……よし、こうしよう」トマソンが指を一本立てる。
「Panasonic LUMIX DC-TX2はふたりの共同戦利品だ。お店ではプラムが紹介役、実務での動作チェックと整備はオイラ。これで文句ないだろ」
プラムはぱっと笑顔になった。「いいねそれ!コンパクトデジタルカメラ好きな人、きっと“ふたりの目線”で紹介したほうが安心だもんね。私が『持ち歩きやすさ担当』で、トマソンが『ガチで触ってみた担当』」
「おう、任せとけ。細かいところまでちゃんとチェックしてから店に出す。変なクセとかあったら、オイラのプライドが許さないからな」
そう言ってトマソンは決めポーズを取る。「高級コンパクトなら、オイラに任せろ!」
ランタンの光を背負って立つその姿は、なかなかに様になっていた…のだが。ヘルメットには炭がべったり、顔にはさっきの撮影でついた指紋が三本線。二枚目のつもりが、どう見ても愛嬌たっぷりの炭鉱ドワーフである。
プラムはクスクス笑いながら、そっとDC-TX2を抱えた。
「じゃ、とりあえず今日は私が上まで運ぶね。途中で落としたりしたらどうするって?……その時は、一緒に謝ろう?」
「お、おい!縁起でもないこと言うなよ!」

こうして炭鉱の奥で繰り広げられた、Panasonic LUMIX DC-TX2を巡る仁義なき争奪戦は、なんとか“共同管理”という形で決着。地上のお店にこの高級コンパクトが並ぶ頃には、ふたりの攻防の熱量も一緒に、そっと写り込んでいるはずだ。
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