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炭鉱最奥で“ライトグレー”! 黒じゃない70-200の夜

  • 執筆者の写真: 飯塚 祐介
    飯塚 祐介
  • 11月11日
  • 読了時間: 3分

夜更けの坑道。湿った空気、ランタンの灯り、三人の足音。

「おい!俺は鼻が利くんだ、今日は当たりの匂いがする!」ロベルトが前を行く。


「みんな、足元だけは慎重にね。ケガだけはしないでね。」プラムが笑う。


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「皆さん、静かに。微かな反射……金属面ですね。行きます」ノーチェルがしゃがみ込み、古い木箱をこじ開けた。


銀色じゃない、でも闇に浮く明るい影。「おい!これは――」「落ち着け私。まだ“これは”しか言ってない」ノーチェルが自分に小声でツッコミを入れる。

布を外すと、すっと現れた長い筒。ライトグレーの肌がランタンをやさしく跳ね返す。「やっぱり来たか!俺はこんなのを見つけてきたぜ!宴だぜ!」ロベルトの声が坑道を走った。


箱の横に貼られた紙。型番がはっきり読めた。「Nikon AF-S VR NIKKOR 70-200mm F2.8 G ED ライトグレー…名前、長っ」プラムが目を丸くする。


「通常はブラック個体が主流。ライトグレーは少数で、いわば“鉱脈の枝”。見かける頻度が違います」ノーチェルが淡々と告げる。「つまりレア。俺の胸もレアに高鳴る!」


坑道脇の作業台にそっと置く。三人でぐるりと一周。「70-200mm、F2.8。数字の列は詩じゃないけど、コレクターには韻だね」プラム。


「ワシ…じゃない、私は失礼。ええと、ライトグレーというだけで棚に置いた時の存在感が変わります。黒い群れの中で、視線が止まる」ノーチェル。


「控えめに言って、棚がちょっとギャラリーになるやつだな」ロベルトがうなずく。


プラムが眉を寄せる。「でもね、コレクション棚って飽和しがち。もう一本“黒い70-200”ならスルーの人もいる。違いはどれくらい大きいの?」


「色だけ、と受け取られがち。けれど“ほとんどが黒”という事実が価値を支えます。ライトグレーは『群れない一点』。希少性の文脈に置くと意味が明確。外観の差は、所有体験そのものを変えます」ノーチェルが短くまとめる。


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「ふむ。じゃ、顧客目線であと二つ。まず“使う気ゼロの観賞用でもいい?”」

「はい。コレクター向けの選択として成立します。カラーバリエーションの歴史を並べる楽しみがある」

「次。“名前が長すぎて覚えられん”」

「それは…努力目標ですね。70-200とライトグレー、この二語で通じます」

「右に行くってことか!」ロベルトが指をさす。

「いえ、要するに“短く言う”ってこと」プラムが肩をすくめる。小さなすれ違いに三人で笑う。


坑道の天井から一滴、ぽとり。音が静寂を切った瞬間、ロベルトの指先が無意識にズームリングへ。「指先が勝手にダイヤル回してるぅ…いや、触るな俺」自制の声に、プラムがふふっと吹いた。


「まとめよう」ノーチェルが指を折る。

「一、商品名は『Nikon AF-S VR NIKKOR 70-200mm F2.8 G ED ライトグレー 』。二、通常はブラック、ライトグレーは希少。三、レンズコレクターの棚に“色で語れる一点”として機能する」


「誠実だ。俺の語彙で言えば“胸が鳴る”だがな」ロベルトが照れ隠しに咳払い。


「うん。私、こういう静かな特別感が好き。ワインで言えば限定畑、ラベルの色違い」プラムが頬を染める。

「飲む話は後で。まずは帰ろう。坑道の出口、今日はやけに遠く感じる」ノーチェルが箱を抱える。

「重いか?」「いえ、期待が重いだけです」


——そして地上へ。月明かりにライトグレーが映えた。「あれ?結局、誰が最初に見つけたんだっけ」プラムが首をかしげる。


「俺だ!」ロベルトが胸を張る。勢いでランタンの灯が揺れてその向こう側の二枚目が少し崩れる。

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ニコン Nikon AF-S VR NIKKOR 70-200mm F2.8 G ED ライトグレー


 
 
 

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