坑道のドラゴン、抱えてたのは“赤帯の85”
- 飯塚 祐介
- 10月13日
- 読了時間: 3分
炭鉱の朝。湯気立つコーヒー、鉱車のきしみ。「おい!オイラは宝を見つけたぞ!」トマソンが肩で息をしながら登場。「また何かやらかしたかいの」ヘベレケが工具を置く。「静かに。今日のミッション、最奥の巣を確かめるんでしたね」ノーチェルはランプを持ち、ひと言だけ。
「標的は“赤い帯”の気配。以上!」トマソンが鼻を鳴らす。「赤帯が相手ならワシも本気じゃ」ヘベレケはベルトを締め直す。「では進みましょう。足元注意」ノーチェル。
障害坑道の突風。奥で“ゴゴゴ”と鳴る。「ドラゴンか?」トマソンが拳を握る。「送風機じゃ。古いやつが暴れておる」ヘベレケが耳で判断。「はい。風切り音の倍音が……いや、落ち着け私。理屈は後でいい」ノーチェルがセルフツッコミ。

知恵と技能ヘベレケがスイッチ盤を開く。「断線、ここじゃ」銅線を結き直すと風が止む。空気が温くなる。「オイラ突撃!」トマソンは最奥へ。巣の真ん中、黒い布。「獲物だ!」ヘベレケが布をめくる。「……赤い帯。リングの刻み。はい、確定です」ノーチェルが目を細める。

地上に戻ると、作業台にそっと置かれた一本。「Canon EF 85mm F1.2 L USM」トマソンが胸を張る。「オイラの嗅覚、今日も冴えてる!」「うむ、見た目は文句なしじゃが、肝心は中身」ヘベレケはライトを当てる。
ミニ解説ノーチェルがうなずく。「これはキヤノンのプロフェッショナル向け“Lレンズ”。設計思想からして高い光学性能を目指した系譜です。描写は、輪郭で押すのではなく面で立たせるタイプ。中古市場でも根強い人気が続き、写真家を惹きつけてきました」「つまり“働く道具”ってことじゃな」ヘベレケ。「ええ。仕上がりの素直さは現場の味方です」ノーチェル。
「でもさ、重さとかクセとか、現場で困らん?」トマソンが顧客目線。「クセはあります。だからこそ選ぶ意志が必要。背景の整理が要る場面ほど、主題が前に出る。操作は落ち着いて、呼吸合わせ」ノーチェル。ヘベレケが触る。リングは滑らか。「指先が勝手に回してるぅ……おっと、わしのせいじゃ」――控えめな誇張。「現場だと、光の端が雑だと一気にバレる。こやつは誤魔化さん。だから信用できる」「オイラが突撃する前に、それ言ってほしいな」「言うたじゃろ、“見る前に直す”のが今日の役目じゃ」ヘベレケが笑う。ノーチェルが締める。「人気が続く理由は、結局そこ。約束を守る描写。必要な人には替えがない」
小さなオチ宴の準備。テーブル中央に一本、赤帯が鎮座。「ドラゴンの正体、送風機だったな」トマソンが串を回しながら。「いや、抱えておったのはレンズですよ」ノーチェル。ヘベレケが一拍置いて指差す。「ところでトマソンよ、その“巣”、わしらの倉庫や。鍵、誰が開けた?」――一拍遅れの指摘。「……オイラの嗅覚、たまに近道もしちゃう」三人で苦笑。結局、職人は道具に嘘をつかない。赤帯は静かに光っていた。
Yahoo!ショッピング キヤノン Canon EF 85mm F1.2 L USM オートフォーカス一眼レフ用レンズ




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